最初に断っておきますが、私は哲学の学者でも哲学を専攻した訳でもないただの一般人です。
ただ、私は哲学を「考える技術」だと思っています。
あらゆるトピックによって自分の中に沸き起こった感情を整理することで、何かの役に立てばいいと思っています。
とはいえ、何の役に立たなくても、自己満足としてそれ自体が崇高で愉快な行為だとも思っています。
ここではそんな頭の中の一部始終を掲載したいと思います。
記念すべき初回は、アニメ「チ。-地球の運動について-」のOP主題歌である「サカナクション/怪獣」についてです。
Netflixでの配信開始時には曲は完成しておらず、最近になってフルバージョンやMVが公開され大きな反響を呼んでいます。
今回は本日公開されたばかりのMVについてをメインに哲学していきたいと思います。
改めて断っておきます
ネット上では「歌詞の「怪獣」が意味するものは何か?」とか「山口さんのうつ病との関連性について」を探る記事が見られますが、私は意味づけすることにそこまで関心がありません。
創作物についてどのような意味を見出すかは受け取る人次第だからです。
私も結局は同じことをしているのでしょうが、スタンスは違うというのを頭に入れておいてください。
歌詞の意味など無限に存在し、解釈は人それぞれ。
一周回って「歌詞に意味などない」と言ってもいいかもしれません。
それを考慮した上で、では自分はこの曲から何を感じ取るのか?どう考えるのか?を記録したい。
そんな個人的でニッチな試みです。
MVの流れを追っていく
まずMVは主人公(山口さん)が壁に挟まれているシーンから始まります。
手には何やら卵のようなものを持っています。怪獣の卵でしょうか?

そこからシーンは変わり、地下鉄の通路のような場所だったとわかります。
すれ違う人に半ば卵を隠すように歩いていて、どうやら卵は主人公にとって大事な物のようです。

その後、主人公の卵は「お金」や「色仕掛け」や「催眠術(笑)」などあの手この手で卵を奪われそうになりますが、なんとか持ち堪えます。
他人にとっても価値がある物のようですね。

NORM(常識・規範)と書かれた方に歩く人たちとすれ違って、様々な手で卵(=知識?)を奪われそうになる。

そして暴力にも耐えボロボロになりながらもなんとか振り切りったのに、通路の両側の壁が迫ってくるという始末。
こんなに行手を阻まれるなんて嫌になっちゃいますね。
そして、ここで主人公が壁に挟まれるイントロの描写と重なります。
これからクライマックスに向けてどうなるかというところですね。

迫ってきていた壁ですが、ふとした瞬間に開いていきます。
主人公は一瞬戻ろうとします。一瞬諦めかけた描写でしょうか。
しかし、意を決してまた前に進み出すと再び壁が迫ってきます。
どうやらこの世界では前に進もうとすると邪魔される仕組みのようです。
現実の世界もさして変わらないですね。

主人公は壁に挟まれる、苦痛に苛まれるのを分かっていても、それでも大事な卵を持って前に進もうとします。
ここはグッとくるポイントですね。
主人公はなんのために前に進みたいのか?主人公にとって卵はなんなのか?は分かりませんが、その姿に心打たれます。
正直その大事なものはなんだっていい。
主人公(私もあなたも)が本気で大事にしているものならばそれだけで十分な理由になると思います。

そして壁に挟まれながらも進む主人公に、黒のおっさんからも邪魔されるという最悪の状況。
そこでBメロのときに少女(純粋の象徴?)から貰っていたペンで黒おっさんの手を突き刺し、なんとか逃れます。

少女から貰った万年筆で撃退する=「ペンは剣よりも強し」で、チ。のメッセージ性とリンクしてるのアツすぎる
しかし、壁が開放されることはなく、なんとか卵だけ通路を突き抜け青年が卵を受け取ったところで壁は完全に閉じてしまいます。

ハッピーエンドかバットエンドかはわかりません。
主人公は、最後の青年に受け取ってもらうために前に進んだ訳でもないし、身体的にはバッドエンドかもしれないけど、
とにかくこの大事な卵を前に、先に、後世に渡すことができた点ではハッピーエンドかもしれない。
ここは「チ。-地球の運動について-」のテーマと重なるところですね。

壁が閉じた後のアウトロ部分では、たくさんの人が何の支障もなく通路を行き来しています。
流れに逆らわない・卵を持たない人々からすればなんてことない通路なのかもしれません。

壁が閉じた後は『←NORM』も無く人々は左右に行き交っている
受け継がれた知識の恩恵を当たり前のように享受できる現代のようだ
卵を持って前に進むことは困難で孤独で試練の連続。
それでも知りたい・見つけたいという欲求の尊さと儚さを感じさせるシーンですね。
ここでMVは終わりです。
怪獣のMVから学ぶこと
編集しながら改めてMVを見て印象的だったのは、黒いおっさんは振り切られると意外とすんなり帰っていくこと。
「取れないならいいや」みたいな感じで。

昨夜一郎さんの配信で、田中監督が嶋田久作が演じている人物は「父親」の象徴でもあるという話をしていて「なるほど!」と思った。

こんな感じで他人は簡単に大事なものを奪おうとする。
大事なものを守り抜くのはこんなにも大変なのに奪うのはこんなに簡単。
私も人の物を簡単に奪ってないか改めて考えてみたい。
他人から奪われたり道を閉ざされたり、そんなことばっかりの世の中だと思います。
でも自分もあなたも「自分の卵」を大切に、守り抜いてほしいと思います。
追記:改めてMVとコメント欄を見てみて
改めてミュージックビデオを見て、「NORM(常識・規範)」と書かれているのを確認しました。「黒いおっさんは父親象徴でもある」とか、「ペンは剣よりも強し」で物語とリンクしてるとか、その他にも本当に細かく作り込まれているのを感じました。

最近読んだ哲学についての本の中で、次のようなものがありました。
ある哲学者の見解に異論があるときは、その哲学者は自分が思いつく程度の反論はすでに検討済みだと思いなさい、とアドバイスしている。
「自分の反論は見当違いで言及する価値もないから書かれていないだけ」だと仮定して、なぜ価値がないと判断されたのかを考えるということだ。
作品を見て我々一般人が想起するような感情は全て、アーティストや作家によって綿密に計算されてデザインされていると言ってもいいかもしれない。
人を感動させる技術ってほんとすごいですね。
「作品によって想起する感情は全てデザインされている」
ちゃんとそれに素直に感動しながら、その上で自分が改めて何を考えるかも大事にしていきたい。
アニメも見終わりました
なんかラファウ君出てきて時空がねじれてるし(村上春樹/『1Q84』を思い出しました)、その前のノヴァクさんのやつも衝撃だったし、あんなにみんな命懸けでやってきたのに全然歴史上の登場人物じゃないし、その中にいろんな思想や考え方が入り混じって、本当にすごい作品でした。
あとでアニメの考察は確認しようと思う笑
アニメ×主題歌のパワーもすごいと思った。
毎回鳥肌立つくらい最高なオープニングだったし、フルバージョン・MV公開までの流れを含めて「そりゃ再生数回数1位なるよな」って感じ。

アニメについてや歌詞についてやあれこれ色々思うことがあるけど今回はここら辺にしときます。
Youtubeで改めてMV見たりコメント欄見てると新たな発見があって面白かったので追記してます。
あとアニメを見返したり漫画でも読んでみたいと思っているところですが、作者の魚豊さんの新作『ようこそ!FACT(東京S区第二支部)へ』も面白いそうなので気になる方は是非読んでみてください。
まとめ
もしこの記事がいいと思ってくれた方は、拡散やコメントしていただけると嬉しいです。
ここで書いていることはあくまでも個人の主観に過ぎないので、違う見方や感想があれば是非コメント欄で教えてください。
みなさんからの反応が良ければこんな記事をこれからも作っていこうと思います。
あなたの卵はなんですか?
最後まで読んでいただきありがとうございました。
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